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2024.07.01

【Blog】エサレン®︎マッサージとポリヴェーガル理論

こころにふれるエサレン®︎マッサージ

エサレン®︎マッサージ&ボディワーク(以下:エサレン®︎マッサージ)は「こころにふれる」マッサージとも呼ばれ、心身両面に働きかけるマッサージと言われています。

不安になりやすい、悩みやすい、敏感に反応しやすいなどのストレスや緊張が起こりやすいこころの状態や円滑な人間関係が築けない原因として、無意識の反応である自律神経の反応パターンがあります。

この自律神経のパターンに変化を起こしていくことで、自然にこころの状態も変化していきます

エサレン®︎マッサージの静かで優しいタッチやからだ全体をひとつのストロークでつないでいくロングストロークを通し、自立神経の反応パターンに変化を起こしていけることを、自律神経の新しい概念であるポリヴェーガル理論から紐解いてみたいと思います。

エサレン®︎マッサージのタッチ

ポリヴェーガル理論とは

ポリヴェーガル理論は米国イリノイ大学の脳神経学者スティーブン・ポージェス博士によって1994年に提唱された自律神経に関する神経理論です。

一般的に自律神経は

①交感神経 =活動しているときに働く
②副交感神経=リラックスしているときに働く

として、2つの神経が真逆の機能を持ちながら、お互いにバランスを取りつつ機能していると分類されていました。

ポリヴェーガル理論は

①交感神経
・副交感神経→②背側迷走神経/③腹側迷走神経

として、副交感神経を2つに分類した新しい神経理論です。

からだの背中側にある神経は背側(はいそく)迷走神経、お腹側にある神経は腹側(ふくそく)迷走神経と呼ばれます。

では、次にこの2つの神経の特徴をみていきます。

凍りつきの背側迷走神経

背側迷走神経のポイントは、凍りつき=シャットダウンを司どる神経です。

もともとは、リラックスに働く副交感神経のひとつなので、マイルドに働いているときはリラックスへ働きますが、危機に瀕したときは急ブレーキをかけるように、呼吸や心臓の動きを遅くして「凍りつき=シャットダウン」を起こすことで身を守ります。

例えば、ライオンに捕えられたシマウマが凍りつきに入り、ぎりぎりのところで一命を取りとめると一目散に逃げさる場面が想像できると思います。

危機がせまったら、生き残るために凍りつきを起こし、身を潜めることで生き延びるという反応パターンをとる3つの自立神経の中でも、最も原始的な防御反応が働きます。

絆と安全の腹側迷走

次に、副交感神経のもうひとつである腹側迷走神経のポイントは「絆と安心」を司どる神経です。

原始的な防御反応で生き延びる背側迷走神経に対して、腹側迷走神経は、哺乳類特有の神経の進化により発達してきました。

哺乳類の特徴として、母親が赤ちゃんにおっぱいを飲ませて育てることから、母親と赤ちゃんには深い「絆」が形成されていきます。

また、進化の過程の中で、特にヒトは声の性質を聞き分けたり、心臓の働きをおだやかにして、攻撃をおさえ、お互いに「仲間だよ」「敵意はないよ」「安全だよ」と合図をだすように働き、仲間と交流する特徴をもっています。

腹側迷走神経は哺乳類が健康を維持しながら生きていくために必要な、絆と安全を感じることを司どる働きをします。

「安全」「危険」「生命の危機」を判断するニューロセプション

ポリヴェーガル理論の副交感神経である原始的な防御反応をとる背側迷走神経と、哺乳類特有の絆と安全をたすける腹側迷走神経をみてきました。

そして、それぞれの自律神経が周囲の状況によって「安全」「危険」「生命の危機」の状態を無意識に察知し、判断している仕組みがニューロセプション(neuroception)と呼ばれるものになります。

直訳すると「神経の知覚」という意味になります。

「なんとなくいやな感じ」などからだ全体で感じるもので、第六感などもニューロセプションに含まれます。

周囲が安全で社会的な交流ができるのか、闘ったり逃げたりしたほうがいいのか、生命の危機がせまっているから凍りついたほうがいいのか、考えを通さずに無意識下でニューロセプションにより選択しています。

ニューロセプションの発達の特徴

そして、注目したいのはニューロセプションの発達の仕方は、育ってきた環境で異なるという点です。

例えば、子どものころに母親との絆を感じ、安心して育った人はニューロセプションの発達も円滑で、適切に安全と危険を見分けることができ、他者とも上手に仲良くなれるとされます。

いっぽう、子どものころから親の気分に左右され、顔色を見ながらビクビクしていた人は、ニューロセプションが円滑に発達しておらず、つねに危険信号ばかり探すようになり、少しの刺激にも敏感に反応します。

人間関係も他者に無分別になついたり、逆に深入りしずぎたりと他者との境界線が上手くきづけなくなる傾向があるとされます。

無意識で学習するからだの手続き記憶

ポリヴェーガル理論の概念から、不安になりやすい、敏感に反応しやすい、他者との距離感がわからずに円滑な関係をきずけないなど、こころの反応パターンは、無意識による自律神経の発達による反応パターンだと紐づけることができると思います。

そして、反応パターンを含めこのからだで覚える記憶は「手続き記憶」と呼ばれます。

自転車に乗るときに足はこう動かそう、手はこう動かそうと考えて自転車に乗る人はいないように、からだは無意識下で学習をします。

このように手続き記憶として、からだが記憶している反応パターンはポジティブに考えようとしたり、性格を変えようとしたり思考を使って変化を起こそうとしてもむずかしく、からだの反応はからだから変化をさせていくのが効果的です。

自律神経を整えるエサレン®︎マッサージ

これまで、ポリヴェーガル理論から自律神経の反応パターンには、無意識でニューロセプションにより選択されている、そしてこの反応パターンは手続き記憶として、からだが記憶していることをみてきました。

これから、エサレン®︎マッサージがどうして自律神経の反応パターンに対処していけるのかを紐解きます。

タッチ

ひとつはからだに心地よい「快」の感覚を与えていくことで、ストレスに反応しやすい過覚醒を和らげていくことが可能だということ。
無意識でいつも警戒していたり、不安を感じていたりするパターンから、心地よい感覚を与えていくことで、安心の領域を広げていくことは有効です。

また、1秒間に5〜10センチ程度のスピードでマッサージをすることで、島皮質という脳の深いところにつながっているC感覚線維が刺激され、感情に関わる「扁桃体」、自立神経やホルモンの調整に関わる「視床下部」にも影響を与えていくことからエサレン®︎マッサージの静かで優しいタッチやゆっくりとしたストロークは効果的です。

ロングストローク

また皮膚は、外界との境界線です。
からだ全体をひとつのストロークで包み込むようなロングストロークは、からだの境界線の感覚を取り戻し、自分で在るというアイディンティティの再構築に役立ちます。

わたしとエサレン®︎マッサージとポリヴェーガル理論

ポリヴェーガル理論に出会ってボディーワーカーとして、たくさんの方のからだにふれてきた経験とじぶん自身の生きづらさから学んだ心理セラピーがパズルのピースが埋まるように経験と理論が統合されました。

自律神経のパターンは簡単に変化するものではありませんが、小さなころにじぶんを守るためにできたパターンを大人のじぶんがこころとからだに向きあうことで、変化させていくことは、わたしの経験からも十分可能だと思います。

そしてわたしが、エサレン®︎マッサージを通して望んでいることは、すべての人が本来はもってる安全と安心の感覚をじぶん自身で取り戻すことで、その人の人生に変化をもあたらすことなんだと改めて感じています。

長くなりましたが、以前からまとめたいと思っていたエサレン®︎マッサージとポリヴェーガル理論についてまとめてみました。
これからも、加筆と訂正を繰り返して読みやすくしていきます。