【生きづらさをじぶんらしさへ変える】身体からトラウマを解放するポリヴェーガル理論

こんにちは。
ソマティックセラピストのじゅんこです。

前回は、生きづらさと発達性トラウマの関係についてまとめました。

【前回の記事】▶︎【生きづらさをじぶんらしさに変える】生きづらさと発達性トラウマの関係

生まれてからの成育環境でうけた「不快な刺激」は「手習記憶」として無意識レベルで身体に記憶され、大人になってもなお、わたし達に影響をあたえています。

今回は幼少期からの発達性トラウマが無意識レベルで身体にどのように刻まれていくのかを紐解いて、生きづらさからの解放のヒントにつなげていきます。

個人的にもポリヴェーガル理論を知ることで、これまで心の学びをしつつ自身でも受けてきた心理カウンセリングで見てきた過去の出来事が発達性トラウマとして、身体に刻まれていたことで「生きづらさ」につながっていたんだということが腑に落ちました。

わたしと同じような「生きづらさ」を感じている方へ、必ずその生きづらさからは抜け出せるというメッセージを込めて、ポリヴェーガル理論をまとめていきます。

ポリヴェーガル理論の基本

ポリヴェーガル理論図式化

幼少期の不快・つらい記憶は発達性トラウマとして神経システムを通して、身体に刻まれます。

この神経システムをポリヴェーガル理論と呼びます。

ポリヴェーガル理論の提唱者は、行動心理学者のS・W・ポージェス博士。

「ポリ」は複数の(pily)
「ヴェーガル」は、迷走神経(vagus)

日本語に訳すと

多重迷走神経系、または多層迷走神経系の訳になります。

2018年11月にポージェス博士のポリヴェーガル理論の翻訳本が出版されたのので、日本で認知されたのはここ数年です。

多重(多層)迷走神経系とは?

人の神経系の図式化

では、多重(多層)迷走神経系とはどんなものなのか?

これまで自律神経系には交感神経系副交感神経系、2つの神経があるのは広く認識されていたことだと思います。

交感神経系  :仕事やスポーツ時、危険が迫った時に逃げる戦うなどの活動する時に優位に働く神経
副交感神経系 :食べものの消化や横になって眠ったりと、リラックスする時に優位に働く神経

この二つの神経系のバランスで身体の調和を保っていると考えられてきましたが、ポージェス博士は新生児が無呼吸になる状態があるときに副交感神経が関わっていることに気づきます。

そして本来なら、リラックスを与えてくれるはずの副交感神経系が、無呼吸という命の危険につながっている状態に関わっている矛盾から副交感神経は2つの働きがあることを発見しました。

一つは、これまで知られていた通りの消化やリラックスをつかさどる働き。

もう一つは、危機に瀕したときに呼吸や心拍を極端に遅くし、シャットダウン(凍りつき)をさせる働き。

さらに、哺乳類だけの副交感神経の中に、消化やリラックスを司る迷走神経と、仲間との関わりや繋がりをつかさどるより進化した迷走神経系があることを発見しました。

そして、消化やリラックスをつかさどる神経は、脳幹の背中側からスタートしていることから「背側迷走神経系

仲間との関わりやつながりをつかさどる神経は、脳幹のもう少し前側であるお腹の側からスタートしていることから「腹側迷走神経系」と名づけました。

神経系の進化の歴史

神経系の進化の図式化

そして、この多重(多層)迷走神経系が、なぜ発達性トラウマと関係するのか?をより深く理解するのには、神経系の進化の過程を見ていくことで後々の理解が深まります。

この、わたし達の身体に張りめぐらせている神経系は、地球の進化と共に発達してきました。

神経系の進化の過程を3つの神経で追って観察してみます。

1.背側迷走神経系

地球ではじめての生命は約35億年前、深海底で誕生したと言われています。

そして、一番古い生物に備わっていたのは背側迷走神経系

約35億年前に深海底で誕生したであろう深海魚を想像してみると、パクパクと口をゆっくりと開けたり閉めたりしながら呼吸をして、酸素もあまり使わずに生息しています。

この神経はマイルドに働いている時は、消化やリラックスをつかさどりますが、身の危険が近づいたときは、呼吸や心拍を極端に遅くし、シャットダウン(凍りつき)をさせる働きをもちいて、じっと身をしずめ守るという原始的な防衛反応をとります。

2.交感神経系

そして、その後の進化で深海底から、もっと浅い海を素早く泳ぐようになると、酸素を使わないことやじっと身をしずめることでは生き延びることがむずかしくなりました。

浅い海で危険が近づいてきたときは、素早く身体を動かして逃げたり、戦ったりすることが必要になりました。

その過程で進化したのが、活動を司どる交感神経系です。

3.腹側迷走神経系

海底から生物は進化をつづけ、陸へあがり哺乳類へと進化しました。

哺乳類は、母親が子供におっぱいを飲ませて育てるので「」が形成され、特に人間は微細な交流をくりかえすことで、声の質や表情をさっしたり、とても複雑な神経系がそなわってきます。

それが、腹側迷走神経系です。

その進化から腹側迷走神経は、人や社会と関わることやつながることなど、社会交流システムをつかさどる神経系ともいえます。

この腹側迷走神経系は、妊娠7ヶ月頃から生後半年の間にもっとも発達し、十分に発達するには25歳ぐらいまでかかると言われているそうです。

そして、この人や社会との関わりあいに影響を与える腹側迷走神経系の成熟には、良く発達した背側迷走神経系をもった大人があやしたり話しかけたり、温かい関わりあいが必要と言われています。

神経に指令を出すニューロセプションとは?

もう一つ、発達性トラウマが身体に刻まれることを理解する上で必要なニューロセプションについてみていきます。

neuro(神経の)
ception(受容)

で、ニューロセプション。

ニューロセプションとは、常に周囲の状況が安全か?否か?を感じ取り、判断している仕組みのことです。

例えば道を歩いていて、急に猛スピードの自転車が通りすぎたときに、とっさに身をひくなど危険な状況におちいった時に、なんとなく身体全体で感じて危険を回避させる反応を起こさせるものがニューロセプション。

ニューロセプションは、周囲の様子を察知して

・逃げたらいいのか?
・凍りついた方がいいのか?
・仲間と繋がれるのか?

などの反応を「考え」を通さずに選択しています。

また、「腑に落ちる」「腹を決める」などの、内臓からの感覚もニューロセプションがつかさどり、この内臓感覚を第6感とポージェス博士はよんでいます。

ニューロセプションの発達には、健康状態をはじめ、今までの人生経験も影響されます。

幼少期に安心な環境で育った人は人の良いところをさがして上手に仲良くできたり、危険信号も適切に見分けられると言えます。

反対に、幼少期に親の気分や顔色を見ながら育つような環境では、ニューロセプションが円満に発達しておらず、人の悪いところばかりさがして過剰に用心したり、逆にどんな人にも無分別になついて深入りしたり、常に危険信号をさがしたりする傾向があると言えます。

発達性トラウマが身体に刻まれると

さて、ここまで神経系の仕組みと、その神経系に指令をだすニューロセプションが存在することをみてきました。

発達性トラウマが神経システムを通して身体に刻まれることがみえてきたと思います。

虐待や暴行を受けたわけでもなく、普通にご飯を食べさせてもらい、習いごともさせてもらい、何不自由なく育ち一見すると「幸せな子供時代だった」と思っていても、幼少期に安全であるという優しい関わりあいや、スキンシップなどが欠如していた場合は、腹側迷走神経系がうまく発達せず危険に敏感なニューロセプションを持つようになります。

その場合に生じる3つの問題として

1.「自分は根源的に価値のない存在だ」と言う「どうしようもない恥の感覚」を持ってしまう

2. 人とうまくやることができない

3. 健康が損なわれる

があるとのことです。

大人になっても深いところで凍りついているにも関わらず、社会に適応する術を身につけ、ボロを出さないように気を遣っているため、表面的には人とうまく合わせても、根源的な安心感や自己肯定感を得ることは難しくなります。

わたしの発達性トラウマ

冒頭に、ポリヴェーガル理論を知ることで自身の生きづらさが腑に落ちたと書きましたが、

わたしの成育環境も、衣食住は何不自由なく育ちましたが、父は仕事とはいえ一年のうちに数日しか家に居なく、ほとんど母子家庭のような状況でした。

そして、母親との関係でも心地よいスキンシップも気薄な環境で育ちました。

心理を学びはじめて、自身でも心理カウンセリングを体験するようになると親との関係性をみていくことが必然になり、母親の気分次第で与えたれた教育という名の罰や無言のメッセージが、幼少期にどんなに傷になっていたかということを何度も経験しました。

そして、何不自由なく育ててもらった=幸せだったということが、ただの思い込みだったということに気づいていきました。

本当に欲しかったものは「ただ、側にいてくれる」「いつも味方でいてくれる」と感じることができる

安心感

だったんだということ。

そして、子供の頃に感じることができなかったものを求めて、これまでがんばり続けていたんだなということ。

ポリヴェール理論は、わたしが歩んできた心の学びの気づきと体験にまさしく理論を与えてくれたものでした。

発達性トラウマの解放

幼少期の不快・つらい体験は手続き記憶として神経システムを通し身体に刻まれるということを、ポリヴェーガル理論を通してみてきました。

一度、つくられた神経システムを変えることはできるのでしょうか?

神経可塑性

と言って、成長した後でも、新しい刺激を加えることでシナプスを組み替えて、神経系のあり方を変えていくことができるということが最近では明らかになってきているそうです。

身体に手習記憶として刻みつけられたトラウマは、身体へ働きかけて神経系に変化を起こしていくことが効果的なこともわかっているので、わたしのボディワーカーとしての経験とともに今後発信していきたいと思っています。

終わりに

今回は、ポリヴェーガル理論に関してまとめてみました。

ポリヴェーガル理論を知ることで、発達性トラウマをかかえた多くの人が、自身に起こっていたことを冷静に受け止めて、自分の人生を取り戻していけると感じています。

今後は、「生きづらさを、じぶんらしさへ変える」をテーマにさらに具体的に解放のヒントをご紹介していきます。

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