こんにちは。
ソマティックセラピストのじゅんこです。
今回は、わたしも抱えていた「生きづらさ」の原因を、「発達性トラウマ」との関係で紐解けた事をまとめてみます。
そして、次のブログで生きづらさから抜ける解放のヒントになるポリヴェーガル理論をご紹介します。
経済的に困っている訳でも、病気でもないのになんとなく心が晴れない、すっきりとしない、鬱々とした気分になり、なぜが生きづらい…
これは、過去、私自身が抱えていた気持ちの一部です。
同じような生きづらさを抱えていたら、発達性トラウマを知ることで生きづらさの理解が進むかも知れません。
原因が分かれば、それに向けた対処ができますのでぜひ最後までお読みください。
*この記事は、「その生きづらさ、発達性トラウマ?(著)花丘ちぐさ」さんの本を参考にさせていただいています。
Table Of Contents
生きづらさと発達性トラウマ
では、発達性トラウマとは一体どんなものなのか?
発達性トラウマとは、子供の成長過程で起きてくるトラウマのことです。<略>何らかの理由によって、親からの十分な愛情を受けられなかった、などさまざまな原因が考えられます。
トラウマという言葉自体の認知もさまざまですが、「その生きづらさ、発達性トラウマ?」の本を参考に、「成長過程で起きてくるトラウマ」に関して分かりやすくまとめていきたいと思います。
不適切教育とは?
親からの十分な愛情が受けれなかったことで起こる発達性トラウマを取りあげるにあたり、不適切教育に触れていきます。
不適切教育は「マルトリートメント」とも言われており、WOT(世界保健機構)でも「チャイルドマルトリートメント」として定義されています。
不適切教育とは、文字通り不適切な子供の育て方ですが、具体的にどんなことが不適切教育かをみていく前に、逆にどんな教育が健全なのか?をみていきたいと思います。
健全な教育に必要な3つのこと
では、早速どんな教育が健全なのかということですが、健全な教育には、3つことが必要とされています。
1.お世話をしてもらう
おっぱいを飲ませてもらう、おしめを替えてもらう、お風呂に入れてもらうなどの面倒を見てもらうこと。
2.スキンシップ
話しかけてもらう、歌を歌ってもらう、目と目を合わせてもらうなど、安全であると感じさせてくれる優しい「働きかけ」があるということ。
3.良いお手本
良いお手本とは、一貫性があり、心地よく、信頼できるフィードバック。
例えば「おいしいね」と言ったとき、「おいしいね」と返してもらうことで「この食べ物はおいしい、おいしいものを食べた時は自分はこんな感じがするのだ、これは自分にとって良いもの」という理解をし、成長過程で健康に良いものを取り入れる術を身につけることにつながります。
他には何かした時に「とてもいいね」「それはダメよ」と教えてもらうことで、社会の仕組みに合わせて成長できたりと、良いお手本が重要になってきます。
発達性トラウマにつながる不適切教育
健全な教育には、成長するためのお世話、そして生きる術を身につけるためのフィードバックやお手本を示してもらうことが大切だと分かりました。
では、発達性トラウマにつながる具体的な不適切教育とはどんなことかをみていきます。
子ども時代に「痛いよ〜」と訴えても「痛くありません!」「つらいよ〜」と助けを求めても「つらくなんかないでしょう!」と返されたり、「あなたのタメだから」と言って不快な刺激をたくさん与えられる。
また、「とるに足らない存在」、「きょうだいや他の家の子の方が価値が高い」という暗黙のメッセージを与えられる。
さらに具体的にみていくと
・子供に手をあげる
・タイミングよくニーズを満たさない
・子供に介入しすぎる
・過干渉で子離れできない
・否定的な言動が多い
・無理にがんばらせる
・子供に愚痴を聞かせる
・勉強を強要する、脅す
・きょうだいを比較する
・成績で人をランク付けする
・子供の夢を否定する etcetc…
いかがですか?
これらが、発達性トラウマにつながるのであれば、多くの普通の過程で起きていることだと思います。
実際に虐待や、暴行などはっきりした形で行われていれば「虐待を受けた」とう自覚を持ちやすいですが、不適切教育の場合は、普通にご飯も食べさせてもらい、習いごともさせてもらい、不自由なく育ったため「幸せな子ども時代だった」と思い込みやすい傾向にあり、不適切教育に気づきにくいそうです。
そしてもう一つ、親に対して不満を持つことに罪悪感を覚え、むしろ自分を責めてしまい、不適切教育によって発達性トラウマを抱えてしまっても、自分が悪いと思うことも多いそうです。
不適切教育での発達性トラウマで起きること
優しいスキンシップや心地よいフィードバックが不足して、不快な刺激をたくさん受けて、不適切教育で育ち発達性トラウマを抱えた場合、大人になってどんなことが起きるのか?
・健全な社会人としての土台
・しっかりとした自己認識
・バランスのとれた世界観
を持つことが難しくなり、これがまさしく「生きづらさ」につながっていることが自分の経験を通しても腑に落ちました。
その結果に、起こる心理的葛藤と身体症状として例をあげてみます。
【心理的葛藤】
・どんなに頑張っても達成感がない
・いつも、この程度ではだめだと感じる
・自分にはあまり能力がないように感じる
・不安や焦りに駆られる
・常にある焦燥感
【身体的症状】
・休みの日は起き上がれない
・過食を繰り返す
・偏頭痛
・涙が出る etcetc…
発達性トラウマは身体に刻まれる
さて、成長過程の不適切教育により、しっかりと自己認識やバランスのとれた世界観を持つことがむずかしくなり、結果的に経済的に困窮している訳でも、病気でもないのに「生きづらい…」と感じる事につながっている事がみえてきました。
では、なぜ幼少期に受けた不適切教育が、大人の自分に影響を与えているのか?
手続き記憶
幼少期に受けた不適切な刺激が、なぜ大人の自分に影響を与えているのか?
それは、その不快な刺激を、身体が記憶しているからです。
身体はさまざまな事を無意識レベルで記憶します。
実際に、心理カウンセリンで、今起きている問題・課題をみていくとほとんどが、この幼少期の不快な刺激に由来することがわかります。
自転車に乗ること、スキーやダンスなどの動作について言葉で説明しようとすると難しですが、その動作をしようとすると、考えなくても自然に身体が動いて、身体が覚えていることはたくさんあります。
この「言葉ではうまく説明できない記憶」は、専門的に「手続き記憶」といい、発達性トラウマもこの手続き記憶として、身体に記憶されています。
例えば、社会人として自立していたとしても、母親と似たような人に出会うと緊張したり、父親に似た人が怒っていると怖くなったり、自分のお給料なのに使うと罪悪感を覚えてたり…
頭では分かっていても、身体的な反応を止めることは難しく、自転車に乗ることを意識的に忘れようとしても忘れられないように、身体に刻まれた記憶を消し去ることは容易にできません。
発達性トラウマを身体から解放する
幼少期の不適切教育によって、感じた悲しみや苦しみは身体に刻まれ、今もなお、大人の私たちに影響を与えています。
これを解放していくに辺り、不快な刺激が起きたときの神経システムを理解することで、解放のヒントに繋がります。
神経システムは、次回のブログでまとめます。
終わりに
発達性トラウマとは、幼少期の不適切教育(不快な刺激)により、自己認識や世界観のゆがみ、自己否定や焦燥感を感じやすくなり生きづらいと感じることにつながること。
そして、それらは手習記憶として身体に刻まれることまでまとめました。
次回、この発達性トラウマから解放されるヒントを身体にどんな風に記憶しているのかを、神経システムから説明します。